丈艸、去来を召し、昨夜目のあはざるまま、ふと案じ入りて、呑舟に書かせたり、おのおの咏じたまへ
旅に病むで夢は枯野をかけめぐる
___花屋日記___
冒頭に引用された日記ですが、少し曰く付きです。ここでは置きます。
死の床にいながら、芭蕉の夢は闊達に全国を駆けめぐっているのでしょう。
芭蕉の末期の水を取る、去来や其角ら、数名の弟子。
弟子達は師匠に辞世の句がないことに気づき、悲しみと焦燥の渕にあり、舞台は急を告げてはいますが、物語全体に広がった人の吐息の湿度に心を委ねていると、枯野の夢を見ていられるような甘味な芸術に酔うばかり。
芥川が師事した漱石の死に重ねて書いたと思われます。
すべての言葉が美しい。。。
芥川の名を冠した賞は、美しい芸術でなくてはなりません。
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